今を遡ること20年前の架空の世界でのお話しです・・・。
うちの特許部(会社?)では、ここ数年、特許戦略なるものを策定している。
何々、今年の戦略は・・・
”質的向上を伴う戦略的特許の積極的取得”
うーん、昨年とあんまり代わり映えしないなぁ。
大体さぁ、お題目で質だの戦略だの唱えてみても、一般ピープル(末端の特許担当者のこと)の個別目標に落とし込まれると、結局、「技術部A=昨年出願件数+20件、技術部B=昨年出願件数+5件,・・・」てな感じで、件数の話しにすり替わっちゃうんだよね。件数だったら、発明提案書の内容を2つに別ければいいだけじゃん(理論上は出願件数を2倍にできますね)。
件数増やして目標達成!→特許戦略見事遂行!(パンパカパーン)
なーんて、安易な図式が成り立つんだったら、だれも苦労しない。
もっとさぁ、何ていうのかな。明細書作成を事務所任せにせずに、クレームは社内で作るとか、他社動向を踏まえて実施例を積極的に追加するとか、もっとまともな事務所に代えるとか・・・色々と本質的な対策があると思うんだよね。でも、なぜかそうはならない。せいぜい、発明者と事務所との打ち合わせに特許担当者が”同席”するように”努力”しよう・・・程度が関の山。
そもそも、年間、250件以上の発明提案書を一人の担当者が処理しなければならない現状で、どうやって重要案件に注力する時間を作れるっていうのさ。机の上にある膨大な書類(発明提案書、国内中間処理、外国アクションのレター等)を処理しなければならない。事務所から上がった明細書原稿を社内便に入れ替えて発送し、発明者がチェックした原稿を事務所にファックスし、多様な雑務に忙殺される日々。”目先の電柱にたどり着くのが精一杯”な状態で、遙か彼方の目標を考える余裕なんて全くないってーの。
でも、そんな自分も、一度、上司に不満を言ったことがあるんだ。
以下、上司との一問一答。
(Q)質的向上を図るんだったら重要案件にもっと注力すべきであり、そのためには、重要性の低い工場Aの案件は流させて欲しい
。(注:「流す」とは、知財担当者の関与の余地を減らして省力化することの意)(A)No!工場Aの案件でも1000件に1件くらいは重要なものもあるかもしれない。その1件を落としてしまったらどうするんだ。そのような取捨選択を認めるわけにはいかない。
(Q)それだったら、我々がその分だけの作業を行える時間が作れるように改善して欲しい。例えば、特許担当者の不要な雑務を減らすか、きちんと残業代を出すとか。
(A)No!どれも必要な業務であり、雑務などない。だから、省力化の余地など存在しない。また、特許部は間接部門で予算が厳しいから、これ以上残業代を増やすわけにはいかない。日常業務をきちんとこなしながら、個々の努力で質的向上に取り組んで欲しい。
(Q)それだったら、もっとまともな事務所を探して、そこに依頼したい。特に、うちの会社のOB系の事務所は、元特許部長だったか何だか知らないが、こちらの要望を全く聞いてくれないので困っている。
(A)現在使っている事務所は、個々の仕事ではバラツキがあるかもしれないが、全体的に見れば平均的なレベルであり問題はない。また、OB系の事務所もそれなりに頑張ってくれている。それに、新しい事務所を探すのは君が思っているよりも大変なんだよ。だから、現時点では、事務所を変更することは考えていない。
?????
(これだから知財G(G=グループ)は手配Gなんて揶揄されんだよ!)
というわけで、彼も他の特許担当者と同様、思考停止に陥ってしまいましたとさ。
早く管理職になって、このタコ部屋状態から抜け出すことだけを夢見て。
(注)あくまで架空の世界でのお話ですよ。しつこいようですが。
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- 2008/12/02(火)|
- 特許業界
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コメント:5
大変暫くです。
この話が架空の話ではないことに激しく同意いたします。では。
- URL |
- 2008/12/03(水) 14:22:48 |
- 特許酔法師 #-
- [ 編集]
特許酔法師さん、
ご無沙汰しております。
電気、機械、化学等の技術分野または企業規模などによって事情は様々でしょうが、知財戦略を実践する上で障壁となる根本的な問題(と思われるもの)を示唆する一つの事例として、本エントリを掲載させて頂いた次第です。
ここいら辺の問題にもキチンと目を向けない限り、現在の知財戦略も単なるトレンドで終わってしまうのかもしれませんね。
- URL |
- 2008/12/04(木) 13:19:40 |
- 特許男 #8rqY0Uyg
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