”特許事務所って、ほんと儲からないやねー。元々一品製作的な仕事だから、濡れ手に粟って訳にはいかないし、それに個人事業主に対してこの国は厳しすぎ!!”
って言葉を、特許男(壱)の周りの所長さん達がよく仰います。確かに、特許の仕事っていうのは、仕事の要した時間以上の価値を生むことは殆どありません。明細書を1件上げたら30万円、2件で60万円といったように、単価×件数で売上げが概ね決まってしまいます。そのせいか、ある特許事務所では、「ひとつ積んでは父のため・・・、ふたつ積んでは母のため…」と誰かが明細書を書きながら唄っているのが聞こえてくるそうです(嘘)
数年前、某知財セミナーで、ビジネスモデルの大家の先生が「俺っちの明細書は1件、200万円だー」と鼻の穴をおっぴろげて宣い、参加者全員の度肝を抜いたという逸話がありますが、これは全くの例外!(っていうか、ほんまかいな?)基本的に、実ワーク以上のリターンを生むって性格の仕事ではありません。だからこそ、ネットビジネスとかが本当に羨ましく思うのです。「ネットビジネスで一山当てて、六本木ヒルズに居を構えて、芸能人と結婚したーい!!あっ、愛車は”べーえむべー”ねっ!」と。
恥ずかしながら、特許男(壱)もそんな不埒な夢を持った一人でした。
そして、とっても恥ずかしながら、現実に手を出してしまいました。
しかも、もう赤面しちゃうくらい恥ずかしながら、結局、ポシャってしまいました・・・。
あれは2年半ほど前になりますが、友人でもあり仕事仲間でもある弁護士の誘いを受けて、ある斬新なインターネットビジネスを行うべく、仲間6名で会社を設立しました。自分以外の仲間は・・・、優秀な弁護士、優秀な会計士、某大手メーカの優秀なマーケ専門の事業部長、あのビックカメラの包装袋(色々なメーカ名がカラフルに羅列してある黒地の袋)を発案したというカリスマ営業マン、そして、超オタク系天才プログラマー、という万全の布陣。これで、ビジネスが失敗するはずがありません。本来ならば・・・。ところが、万全の準備を経て、ようやくこぎ着けたサービスイン直前に、すでに同様のビジネスを行っている競業他社(リーダー)が存在することが判明。さあ、大変です。我々(フォロワー)としては、リーダーのビジネスよりも優れたものになるように、サービスを早期にポリッシュアップせねばなりません。こうなると、もう時間との勝負ですから、内部のリソースだけでちまちま開発している訳にはいきません。当然、外部のリソースを活用することになる。そのためには、金が数百万単位でかかってくる。というわけで、自己資金を更に出し合って追加投資を行ったのですが、その資金もあっという間に底をついてしまい、ここで損切り・・・。結局、会社発足後2年足らずで、外部からの出資を受けることになりました。この時点で、我々の経営権は消失。なんだかんだで5000万円近い金を注ぎ込んだにも拘わらず、それから1年、都合3年足らずで会社は破綻!破綻直前の売り上げは、月商20万円にも満たなかったようです。このビジネスを遂行する過程で行った2件の特許出願および3件の商標出願に関する手数料については辛くも回収することができましたが、自分が投資した数百万円は、完全に水泡に帰してしまいました。ヒルズ族の夢とともに・・・。
ネットビジネスは、損益分岐点に相当する会員数を確保できれば、それ以上は”濡れ手に粟”の如く、利益が膨らんでいきます。ただし、初期投資が膨大で、参入障壁が低いというリスクも当然、伴います。これに対して、特許業務は、ボロ儲けこそ期待できませんが、初期投資が極低額で済むという利点があります。そして、自分のスキルにもよりますが、スキル面での参入障壁は高いといえます。今回の経験を通じて、自分は、参入障壁の低さに起因した怖さを身をもって痛感しました。それとともに、自分の本業に関しては、常にスキルアップを心がけて、ライバルが参入し難い自分固有の強み(ポジション)をきちんと築き上げる大切さをまさに身をもって学びました。
”隣の芝生は青く見える”っていいますが、あながち捨てたもんじゃないですよ、特許業務っていうのも!
(追伸)
本来、一品製作的であるべき特許業務に大量生産的発想を最初に導入した特許事務所っていうのは、それはそれで画期的だったんでしょうね、当時としては。経営戦略としても理にかなっているし。まぁ、自分の目指す方向とはまったく逆なんですが・・・。
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- 2006/09/04(月)|
- よもやま話
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コメント:5
こんにちは。
特許男(壱)さんは大変な経験をされたようですね。斯く言う小生も絶対成功すると思って投資した新規事業で酷い目に逢いました。せめて税金でも取り戻そうかと研究中ですwww
たしかに国内の明細書作成はお金の面だけを考えると効率が悪いと思います。が、新しい技術、素晴らしい技術者に出逢える喜び、そして納得できる作品を仕上げた達成感というのは何ごとにも換え難いと思いませんか?
- URL |
- 2006/09/05(火) 10:31:39 |
- 特許 #-
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特許さん、コメントどうもありがとうございます。
そうでしたか、特許さんも・・・。お互い大変ですね。
でも、あくまで本業の屋台骨が傾かない範囲での投資でしたし、良い勉強をさせてもらったと思ってます(高い授業料でしたが)。特許事務所を8年もやって多少ヤマっ気が出ていた自分に対して、特許の神様(?)が「おまえは、特許道に邁進せいーっ!」と諭してくれたのかもしれません(笑)
特許さんのおっしゃるとおり、独立当初はともかくとして、今、自分が特許事務所を営む理由は、お金ではありません。仕事に対する達成感、この仕事は自分にしかできないと思えること、サラリーマンでは経験できないような難題を自分で考えて解決し、自分がまた一歩成長できたと思えること、そして、何よりも誰かのカンバンではなく、自分のカンバンで社会貢献できていること、そういった諸々の自己実現的な要素に、生き甲斐を感じているのだと思います。もちろん、生きていく上でお金は大切ですが、それなりのお金が結果としてついてくるものだと思っています。
- URL |
- 2006/09/05(火) 12:59:57 |
- 特許男(壱) #8rqY0Uyg
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申し訳ありません。上の書き込みは小生です。
ちょっと筆、じゃなくてキー操作が滑ってしまいまいたwww ついでに書くと、酔法師(よろぼし)というのは新潟の酒の銘柄です。
いずれにせよ特許男(壱)さんのような考え方の実業家が過去・現在の日本を支え、そして未来の日本を支えていくのだと思います。
では。
- URL |
- 2006/09/05(火) 16:47:16 |
- 特許酔法師 #-
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なんか今日一日のアクセス数が190を超えてる〜!
こんなことは、パテントサロンに本ブログが掲載したとき以来だー。
いったい何が起こったんだろう?
- URL |
- 2006/09/05(火) 22:47:04 |
- 特許男(壱) #-
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初めまして。友人が事務所に勤めている関係でこの業界のことを聞く機会があり、人手作業のための苦労することが多いと嘆いているのが少し理解できました。
素人の当方でも知的財産に触れる機会があるかと思い、今後参考にさせて頂きます。
- URL |
- 2007/11/02(金) 00:39:42 |
- 一見 #6qNMWpAk
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